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辞書よさらば

職場建物の改装のため,室内のもの全部出さねばなりません。この際だから不要な書類や書籍を一気に処分しようと,本棚に取り掛かりました。

今ではほぼ何でもオンラインで手に入ります。古い研究所レポート類は温存する価値もないので古紙へ分類。ずっと開いてない本は自宅へ持ち帰り,二度と開きそうにない書籍も古紙の山へ。

そしてふと手が止まりました。辞書。英和,和英,英英があり,どれも渡米時に日本から持って来た旅の友です。当初は机の上に常備し,何度もお世話になりました。

でもこの10年くらい本棚でホコリを被ったまま。英単語を調べるならパソコン付属の電子辞書やネット検索がずっと簡単です。それに在米20年,英単語を調べる機会もあまり無くなりました。CNNとか読んでると,時々なんだこれって単語が出てきますけど。

ちょっと悩んだ後,辞書さんたちも古紙の山へ。寂しくもありますが,おそらく生涯もう使うことはありません。

疑問にくわえてさらなる疑問

「且つ」という単語をさてどう英訳したものかと,ふと考え込みました。in additionというのは「それに加えて」。まあそうかもしれませんが,ちょっと違うっぽい。辞書を引いたら英訳はなんと単純に and。

「且つ」ってなにか複数のことが並んであるようなものですよね。この本は面白く且つ有益だ,みたいな。in additionだと,最初の面白いがまずあって,それに加えて有益みないな感じになりますので,ちょっと違和感。

そんなことをつらつら考えつつ,さらにふと「且」の漢字ってなんだこれ?

「且つ」以外で見たこと無い気がします。なんか熟語は無いかと調べてみると(暇だねえ),びっくりするものが。

苟且

「こうしょ」と読むそうなんですが,且つ「かりそめ」とも読む。

「かりそめの恋」のあの仮初めです。というか,この単語以外に使いみちが思いつかない。苟且をなぜ「かりそめ」と読むのか。再びネットの辞書を。。。。以下無限ループ。

空飛ぶみさご

ミサゴ,知ってますか。僕は知りませんでした。振動を体感するんじゃないかというほどの爆音に,こりゃきっとアレだと,スマホ持って外に出たら案の定,オスプレイが頭上を旋回していきました。ほんとにすごい音です。

Osprey,そういう名前のデイパックを昔買ったことがあるので,名前には馴染みあるのですが,さてその意味はというとさっぱり。そのデイパックのときに調べた記憶はあるものの,記憶がさっぱり抜けております。

辞書を引くとミサゴ,鷹のような猛禽類で,漢字で鶚と書くそうです。書くそうと言われても,とても書けそうにないですけど。ちなみに辞書を引くというのはあくまで慣用表現。実際に本を紐解くことはもうありません。パソコンのアプリでちょいちょいっと検索するだけ。

自分の専門分野の論文に出てくる英単語や日常生活での英単語は,もう辞書を調べることもなくなりましたが,CNNなんかを見てるとまだまだ不十分です。特に昨年あたりから,罵倒関連の語彙が随分と増えたような。

聞くが早いか引くが早いか

「辞書を引く」あたりまえの表現ですが,じゃあなんで引いてるんだろう。気になると調べなくては落ち着かない性分なので,あれこれ調べ,さらにはパソコン付属の辞書も引き,結局良くわかりませんでした。

「くじを引く」と同じように,なにか一つを選ぶときの引く,あるいは「引用」のように文中に何かを引いてくる,そんなところから来てるんじゃないかと。

さて,書籍の辞書を引く機会は,もう全くありません。MacBookに付属する,国語,英和,仏英,独英,類義語,こんなのでほぼ事足ります。あるいはネットでちょいちょいっと検索すりゃ,答えはそこにあります。便利になった反面,この横着さは堕落への急降下じゃないのかという危惧も。

かつて一番良く使った印刷された辞書はもちろん英和辞典ですが,その次に活躍したもの,それは僕の場合は音楽辞典です。Internetなんてなかった高校生時代,音楽関連の用語を調べるのに重宝しました。特にイタリア語での表記など。

なにか一つの音楽用語を調べたら,そのついでに前後の部分も読んでしまったりと,ムダ知識の蓄積にも役立ったはずです。ネットでちゃちゃっと調べておしまいな時代だと,なかなかそうはいきません。だって何か調べたついでに,ちょっとニュースでも読もうかとか,無関係な誘惑が強すぎますもん。

まだまだ足りない語彙

普段,仕事上の英文を読むときに辞書を使うことはあまりありません。友人らのメールにはたまに変なjargonが紛れ込むこともあり,なんじゃいこりゃとパソコンに付属する辞書を使うことはありますが。

それがこの二日間で全く見たことが無い単語に遭遇いたしました。

Deontology

哲学者カントの唱える「義務論」 … だそうです。初めて見る単語に加えて,パソコンの英和辞書にも載ってない。英英にはありましたが,ググりました。知り合いのメールに書かれてたものですが,彼が哲学用語を駆使するとは知りませんでした。

Inauguration

辞書引いたあとに思い出したのですが,大統領の就任式 Presidential Inauguration,普通の意味は就任式。それとはちょっと違ったコンテキストで使われていたので,就任式には気付きませんでした。まだまだ修行が足りません。

空にならないカレンダー

電子化のおかげで,すっかり使わなくなってしまったもの.その筆頭格は辞書.英和・和英辞典を開くことは全く無くなり,辞書は書棚で埃をかぶったままです.かつては机の上に常備されていたと言うのに.

英単語はパソコン付属の電子辞書で調べるか,綴があやふやという程度なら,適当に検索ボックスにタイプするだけ.「もしかして」と正しいスペルを教えてくれます.

その次が手帳.長年使っていたシステム手帳は,もう持ち歩きません.代わりがGoogleのカレンダー.2008年1月から使い始めているようで,そういう古い記録がすぐに見られるのも便利です.

このカレンダーが手放せないのは,数カ月後のスケジュール管理が必要になるから.昔はせいぜい一年間の予定をメモっておけばよかったのですが,今じゃ「2年後の5月,空いてる?」なんていう問い合わせもあります.

2年後は極端ですが,半年,1年後は日常茶飯事.先日,とある大学からセミナーをしに来てくれと依頼され,いつ?と聞いたら,

「来年夏休みまではセミナー全部埋まってるから,秋かな.予定どう?」

どうって言われても,一年後の予定なんてほぼ空,と言いたいところですが,カレンダー見たらすでに会議が一つ入ってました.やれやれ.