
家全体に暖房が入るのがアメリカの住宅では普通ですが,全部ぬくぬくより足元だけのほうが快適なので,室温控えめにして炬燵生活です。でも実は炬燵ってずっと長い間,自分にはあまり縁のないものでした。
小学生低学年の頃は家にあったと思います。でもいつの間にかちゃぶ台としての機能のみを残し,炬燵布団の記憶はありません。それが何十年も後にわざわざアメリカに輸入するとは。
そんな小学生時代,祖父母の家にあったのは掘り炬燵。田舎に古くからある伝統の,と言いたいところですが,祖父が板の間を四角く切ってわざわざ作ったもので,実態は普通の電気炬燵でした。
そしてその隣に常にあったのが火鉢。
僕はこれが大好きで,冷えた手を火鉢で暖めては,毎日のように餅を焼いて食べてました。そして事あるごとに祖母に言っていたのは,
「これ,形見にちょうだいね」
まだ死にそうな歳じゃなかったはずですけど,歳月は流れて火鉢用の練炭も入手困難になったのか,使われることもなくなりました。やがて祖父母は他界し,その家も無くなりました。
そんな家のことをふと思い出し,そう言えばあの火鉢どうなったんだろう。重たくかさばる陶磁器です。おそらくは家を解体するときに廃棄されてしまったのかも。







