「文庫本」タグアーカイブ

こころの在り方を考える書店

こちらで日本の新聞や週刊誌をつらつら眺めているとき,いつも気になるのが書評です.日本ってまだまだ読書を大事にする国です.日々送り出される新刊の数々,ぎっしりと埋まった本棚の並ぶ書店は,海外在留邦人には憧憬の的.

たまの帰国ともなれば,喜び勇んで大型書店へと出かけます.でも大量の書籍の背表紙にすっかり迷子にになり,何を買ったらよいのかさっぱりわからなくなります.読みたい本が無い,一体どうしてなんでしょう.

書評でよさそうなものがあればメモっておけばよいのですが,それも面倒.かと言って本屋に行けば思い出すだろうなんてのは安易な考え.そんなの覚えてるはずがない.

で,ふと今思いついたのですが,新聞・雑誌はスマホかiPadで読んでるわけです.メモらなくても,その画面のスクリーンショットを取っておけばいいんだった.

読みたい本が見つからない他の理由は,やたらと似たような本が並んでいること.おそらくヒットが出れば,柳の下のどじょうを狙った企画がゾロゾロと出てくるのでしょう.平積みされている本には,「〇〇はすごい」「△△はもっとすごい」とか,なんたらバカシリーズみたいなのばかり.

それに加えて,店員さんの書籍愛も薄れてきているのか,

夏目漱石の「こころ」を,こんな場所に並べるなんて...

え? なんでそんな書棚を見てたんだって?

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今度は本屋で主張する人

昨日の話題に関連して,今度は東京の大きな書店で聞こえた声の話.

文庫本を物色していると,店内に何やら大きな声が響き始めました.年配のご婦人です.本来書店は静かな場所,そんなところで大声で店員に話しかけているので,いやが上にも内容が耳に入ってきます.おばあちゃん,なんか訴えております.

あのね,このバッグを持ったまま倒れてしまったの.そしたらね,手をね,痛めてしまったの

なんかヤバそうな雰囲気です.声の主の方を横目で見ると,カウンターの内側で店員さんがやや緊張してるっぽい.

痛くてたまらなくて病院へ行ったの.写真を撮ってもらってね.でもね,お医者さんが『何とも無い』って言うの.でもね,本当に痛いの

こりゃクレーマーだな.きっと店に治療費払えって言うんだ.おばあちゃんの声へと耳アンテナを傾け,本棚の裏側から様子を伺います.店員さんも困ってる風.

手がね,もう本当にどんどん痛くなってきて,我慢できないくらいなの

そんな言葉がもう10分以上続いています.きっと次に出てくるのは「あなたじゃ分からないから,上司を呼べ」とかそんなのか.店員さん,どうするんだろうと心配になってきたら,

それでね.骨折についての本は無いかしら

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柔らかさは触って確認します

雲のにくきう

「変わった読み方するのね」

Saltlake City行きの機内で文庫本を読んでいたのを,隣のおばちゃんがチラ見してたらしく,話しかけてきました.Montanaへ帰るところなんだとか.

上から下へ,右から左へ.アルファベットしか知らない人には珍しいんでしょう.日本語文章はこうやって読むんだよと説明してると,

「本もおもしろいんだけど,あなたの手も気になるのよね」

手?

この手?と右の手のひらを広げて見せると,

「私の父は農業やっててね,手はもうゴツゴツ.なのにあなたの手といったら」

とか言いながら僕の手をムニムニぷにぷに.ちょっとゾワっときました.

あの...にくきうはありませんから.

そりゃ紙と鉛筆の仕事なのでフニャフニャな手なのは認めますけど,触って確かめますかねえ.おばちゃんに怖いもの無しなのは,世界共通か.

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地下鉄や隣は何を読む人ぞ

アメリカから日本へ帰国するたび,大量の文庫本を調達しています.普段から活字中毒なのに加えて,長距離フライトのお供に欠かせません.

その文庫本熱を東京滞在中も引きずっており,通勤途中の丸善は僕にとって楽園でもあります.あ,丸善からお金貰ってないですからね.

まとめて20冊とか買うので,レジで聞かれる定番質問「カバーをおかけしますか?」には,要らないと答えます.じゃないと,後ろに並んだ客の氷点下目線に晒されます.

それを今も続けてるもんだから,地下鉄内で読む本の表紙が丸見え.普通ならそれでもいいんだけど,

酒ランチ

こういうイラストの表紙は止めて欲しいです.なんか変な本を読んでるように見えるじゃないですか.普通の心理学の本なんですからね.ヲタク本じゃないんだからね.

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読める人には読める

文庫でディナー
文庫でディナー

いつものように飛行機内の時間潰しは文庫本.日本人の慎ましさの象徴でもあるブックカバーはかけません.帰国時に大量に買い込んでくる関係上,ブックカバーかけ作業に時間を取られ,背後に感じる並んだ人々の視線の針に耐えきれないのがその理由.どんな本を読んでいるのかは一目瞭然ですが,なんせここは異国の地,気にすることはありません.

なんて油断してたら,隣の座席の中年男性が

「ソラノラゴス?」

と突然タイトルを読んできたのでびっくり.正解は「旅のラゴス」(筒井康隆著)ですが,ひらがなとカタカナ部分は正解.聞けば,日本語が少し読めるんだとか.あぶなかった,ムフフな本じゃなくてよかった.

日本語を勉強したのかと聞いたら,以前日本の会社で働いていたんだそうです.それも何故か郡山市という微妙な地方都市.何の会社だったのかは聞かなかったのですが,日本の田舎をとても気に入ってる様子でした.

「日本ってとっても安全なんだ.ママチャリ使ってたんだが,ちーっちゃい鍵つけてるだけで,誰も盗んでいかないんだぜ」

どうせなら,鍵なんか付けなくても盗まれないんだぜ,と言って欲しいところですが,さすがにそれは無理か.

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バイエルの謎

バイエルの謎
バイエルの謎

書評を読んで以前から気になっており,帰国時に手に入れた文庫本,安田寛著「バイエルの謎」.

ピアノを習ったことがある人なら誰でも知ってるバイエル教則本で有名なFerdinand Beyerですが,どんな作曲家だったのかあまりよく分かっていないという不思議な人です.そのBeyerを探す旅を続けた作者,内容はちょっとサスペンス調ながらも,どこか詰めが甘い探求にほのぼのします.

ひと昔前「バイエルなんて日本人しか使ってない」と,バイエル否定が盛んになった時期があり,ピアノの先生達も何か別のピアノ入門教材を使うのが流行ってました.最近はまたバイエルが復調しているようです.

僕も自分の子供らにピアノを教え始めたときは,バイエルではなくてメトードローズを使いました.別にバイエル否定派じゃないんだけど,はっきり言ってバイエルの上巻は退屈すぎ.

バイエルは下巻から面白くなります.短いながらもかわいらしい旋律が多く,やっと「曲」らしくなります.

Beyer No.88
Beyer No.88

バイエルの88番,最初の二小節は「ゆ〜きやこんこ,あられやこんこ♪」って聞こえます.

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エッセイ集の増量剤

雲

普通の小説よりは,どちらかと言うと随筆の方が好みで,帰国のたびにあれこれ文庫本を買い込んできます.ちなみにどうして僕のパソコンは「ずいしつ」を髄質と変換するのか,7秒間悩んでいたのは秘密.あぁヒチめんどくせぇ脳髄だぜ.

著名な作家のエッセイ集には,へ〜この人ってこんな考え方するんだと驚きがあります.無名だけどちょっと変わった職業の方が書かれたものは,プロの文章では無いとは言え,知らない世界を垣間見る楽しみもあります.

おそらくは雑誌かなにかで連載されていたものがまとめられた一冊には,それだけでは分量不足だったのか,書き下ろしなる部分が付属.これがたまに,いかにも増量剤と分かるものがある.

好き放題言いたい放題はまだ良いんです.一番興ざめするのは,家族・友人の話だったり,自分の自慢話,自分の宗教の話.小学生の時に貰った「よくできましたで賞」なんて興味ないって.ああいうのって,出版社の方が

「なんでもいいから,あと50頁分,大急ぎで何か書いてください!」

って依頼してくるんですかね.そういう時は「駄菓子屋の花子ばあちゃんの思い出」よりも,「誰も知らない科学者の生態」とかの方が受けると思うんですけど.

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