「ピアノ」タグアーカイブ

美しき五月に東戸塚行き

東戸塚にあるSala Masakaとい小さなホールで開催された歌曲のコンサートに行ってきました.プログラム前半はSchumannの連作歌曲「詩人の恋 Dichterliebe」.出井則太郎さんの歌,平尾有衣さんのピアノ伴奏.平尾さんはBeethovenの月光も演奏されました.

Im wunderschoenen Monat Mai (美しき5月に)で始まる恋の歌.この歳になって「詩人の恋」も無いだろうという気もしますが,ま,いいでしょう.5月だし,学者だって恋くらいするかも.

後半はCzech音楽,Moravia民謡,Czechにまつわる話題を交えた,とても楽しいコンサートでした.

この日のピアノ,珍しいことにCzech製ピアノで有名なPetrofです.以前Pragueで古いアップライトを見かけましたが,グランドを見るのは初めて.もちろん見るだけじゃつまらない.コンサート終了後,ちょっとだけ触らせてもらいました.

鍵盤は軽めで,かなり繊細な音が出るようです.でもこの日のコンサートではよく鳴っていましたので,ポテンシャル高いのかも.

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そんなとき楽興の時を聴きたい

枝垂桜

自分の葬式のとき,どんな音楽をかけて欲しいかという話を友人としてたことがあります.確か彼からWagnerだと聞き,マジかよと思ったのですが,普通のRequiemとかベタなのは嫌だとお互いに同意したのは覚えています.

G.FaureのRequiemだったらそんなに悪くないか.もしMozartのRequiemがかかってたら,Lacrimosa(涙の日)より先は鳴らしてくれるなと棺桶の中から叫びそう.モツレクの後半はがっかり音楽なので.

そんな心休まる音楽として僕が好きなのは,SchubertのMoments Musicaux(楽興の時)D780の第6曲.ゆっくりとした少々単調な曲ですが,聞けば聞くほど,弾けば弾くほど良さが分かる曲です.これなら棺桶の中でぐっすり眠れそう.

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Beethoven,三大不人気ソナタ集

MHKホール

先日再びNHK交響楽団の定期演奏会へ足を運びました.演目はMendelssohnのViolin協奏曲と,Mahlerの第一交響曲.「めんこん」はさらさらと流れて,いい気分で寝てしまいましたが,Mahlerの方はしっかりと聴きました.終楽章の最後の部分,楽譜の指示通りHorn奏者が全員立ち上がったのを見届けて満足し,家路につきました.

さてそんな音楽三昧(って程もない)な東京生活です.今日も小さなコンサートの情報を知ったのですが,そのプログラムがちょっと変わってる.

BeethovenのPiano Sonataですが,なんと第2番イ長調Op.2-2.個人的にはBeethovenのソナタでダントツの不人気曲だと思うのですが,これを取り上げるということは僕の認識に問題ありなのか.

僕が三大不人気ソナタと密かに思っているのは,2番の他に,16番ト長調31-1,22番ヘ長調Op.54.特に22番はさっぱり分からん.これ,ソナタじゃないだろう.

Beethovenの三大人気ピアノ曲「悲愴」「月光」「熱情」が入ったCDはたくさん売られています.でも三大不人気曲を集めたCDってのも面白いと思うんですよ.商業的にどうかは別として.

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薄くても安いかどうかは分からない

AvantGrand

海外出張中の従姉妹が,家にあるピアノを弾いていいというので,ちょっとばかり遊ばせてもらいました.YAMAHAのハイブリッドピアノというタイプで,鍵盤のタッチは普通のピアノと全く同じ.グランドピアノと同じアクションらしく,電子ピアノという感覚は全くありません.

あるとすれば,ヘッドホンから聞こえてくる音.これなら真夜中でも練習できるというわけ.ちょっと欲しいかも.すごい技術ですが,お値段もそれなりに...

楽譜

とりあえずはパソコンの中に溜め込んでいる楽譜を使って弾いていたのですが,やっぱり面倒.夕方,そのまま銀座へと向かい,山野楽器で一冊買ってきました.

Henle版のソナタが一曲だけ分売になったもの.これなら持ち歩きも便利ですが,ソナタ「集」の方が値段が安かったのは,見なかったことにしよう.だって重たいんだもん.

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2017年弾き初めのSchubert D.960

Beaujolais Nouveau

年の初めにピアノの前で,さて今年最初の曲は何にするかと考えます.書き初めならぬ弾き初め,そんな言葉があるのかどうかは知りませんが,本棚からSchubertのピアノ・ソナタ集を取り出し,選んだのは第21番,D.960.

1828年の9月に作曲され,シューベルトはその2ヶ月後に31歳の短い生涯を閉じています.この最後のピアノ・ソナタは長大ならがも歌に溢れ,時折ウィーン的な部分も顔を出し,正月らしいかも.

そうか,正月と言えばNew Year Concert.無意識にどことなくウィーンっぽいものを弾き初めに選んだのかも.

ちなみに弾いたのは一楽章だけです.それだけで20分かかります.技術的にはそれほどでも無いのですが冗長な部分も多く,忍耐力の限界に達するのがシューベルトの辛いところ.

と,文句言ってみたものの名曲ですので,是非とも聞いてみてください.

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未完成交響曲の4種類のピアノ編曲

「交響曲への誘い (編曲解説 水城郁夫)」という楽譜を持っています.「運命」「未完成」「新世界」「悲愴」のメジャーどころをピアノソロにアレンジしたもので,4つも入ってお得だと買ったものの,弾いてみてがっかり.曲が大胆にカットされていたのです.そりゃ100ページ足らずの本で交響曲が4曲も入るはずはない.買ったのは随分昔のことです.

それにしてもこの楽譜はちょっと不思議でした.アマチュア向けと言うには,編曲の難易度が高い.でもプロ向けだったら大胆カットして曲のさわりだけ編曲することは無いでしょう.どこか中途半端.

それが最近,未完成交響曲の全曲ピアノ編曲ををあれこれ見ていて,なんとなく理由が分かりました.水城編曲と書かれていますが,これはおそらくPeters出版のR. Kleinmichel編曲を,中間部分をばっさりとカットしたもの.オリジナルの楽譜が著作権切れだからとは言え,こういうのを編曲って言うのかな.

IMSLPの未完成交響曲のページには,4つのピアノソロ編曲が集められています.いずれも19世紀終わりから20世紀初めに出版されたもののようです.

僕の想像ですが,C. Reinecke編曲がおそらく一番最初のピアノ編曲のように思えます.かなりオーケストラのスコアに忠実に編曲しているようで,全体にピアノの広い音域が使われ,超高速の32分音符のトレモロや指が届かない10度音程等,演奏のしやすさは二の次な箇所が散見されます.

以下,4種類の編曲を,第2楽章の冒頭部分で較べてみます.まずはReinecke版.赤丸の部分が10度音程.冒頭いきなり左右の手を交差する指示がなされていますが,これは幾ら何でも印刷ミスでしょう.

Peters出版のR. Kleinmichel版は,Reinecke版を整理して弾きやすくしたような楽譜です.トレモロは普通に16分音符で書き直され,低音パートをオクターブ上げて音域が狭められているのは,アマチュア音楽家を意識したものか.

二楽章冒頭,手が小さいと届かない10度音程は分割され,violaが弾くGisの音は原曲を無視して一拍後ろへずらされています.やはり実際にピアノで弾くことを意識した編曲のよう.

B. Buyes版はKleinmichel版をさらにピアノ曲らしく編曲した感じです.Kleinmichel同様,トレモロは16分音符で書かれていますが,音が足されて和音に厚みを持たせています.二楽章冒頭のバスパートもオクターブで取るように変更されていますが,原曲はバスの単音.

5小節目,Kleinmichel版では落ちていたviolaパートのE音が追加されています.不思議なことに,水城版もここだけはスコア通りになっているのです.もしかするとKleinmichel版の印刷ミスと考えて修正したのかも.ここだけ修正したらしい証拠に,水城版のバスの音が以下のごとく間違っています.

水城版を除く3曲の流れは,Reineckeがまずスコアからピアノ譜に落とし,Kleinmichelが誰でも楽しめるようなピアノ曲に整理し,Buyesが派手さを加えたということでしょうか.

最後のM. Pauerは全くの別系統.大胆に分散和音を使ったり,和音の連打や音域の拡大があったりと,難易度の高い編曲.実際にコンサートの演目に出せそうですが,ピアノ独奏の未完成交響曲のコンサートに行きたいかと言われると,ちょっと躊躇しますけど.

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バイエルの謎

バイエルの謎
バイエルの謎

書評を読んで以前から気になっており,帰国時に手に入れた文庫本,安田寛著「バイエルの謎」.

ピアノを習ったことがある人なら誰でも知ってるバイエル教則本で有名なFerdinand Beyerですが,どんな作曲家だったのかあまりよく分かっていないという不思議な人です.そのBeyerを探す旅を続けた作者,内容はちょっとサスペンス調ながらも,どこか詰めが甘い探求にほのぼのします.

ひと昔前「バイエルなんて日本人しか使ってない」と,バイエル否定が盛んになった時期があり,ピアノの先生達も何か別のピアノ入門教材を使うのが流行ってました.最近はまたバイエルが復調しているようです.

僕も自分の子供らにピアノを教え始めたときは,バイエルではなくてメトードローズを使いました.別にバイエル否定派じゃないんだけど,はっきり言ってバイエルの上巻は退屈すぎ.

バイエルは下巻から面白くなります.短いながらもかわいらしい旋律が多く,やっと「曲」らしくなります.

Beyer No.88
Beyer No.88

バイエルの88番,最初の二小節は「ゆ〜きやこんこ,あられやこんこ♪」って聞こえます.

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