2005/11/07 月曜日
以前書いた音を合成する話の続き。原理的には、電気信号でどんな音でも作り出すことができます。要は色んな周波数成分を足し合わせて行けば良い訳です。それと同じことを、50年程前、オーケストラを使ってやった人がいます。
黛敏郎の「涅槃交響曲」。東大寺などの鐘の音を音響分析し、それをオーケストラの楽器の重ね合わせで再現します。実際にN響を使って実験を繰り返したそうで、”Campanology”という部分が最初に完成しました。その後、仏教の声明を取り入れた楽章を挟む、全6楽章の交響曲として完成。1958年。黛敏郎、若干29歳の才気煥発。作曲家としてよりも「題名の無い音楽界」司会者としての方が有名になってしまいましたが。
偶数楽章は大規模な男性合唱が入り、いかにも大交響曲の大音響となりますが、やっぱり聞きどころは、鐘の「ぐぉーーん」という音響をオーケストラで鳴らすところ。
この曲を最初に聴いたのは高校生の頃で、FMで放送されたN響のライブでした。それまでは清く正しいClassic音楽青年だった僕の頭を梵鐘に入れてゴーンとぶん殴った音楽。放送を録音したテープを何度も聴き返しました。実家のステレオの大音響で鳴らす涅槃交響曲、親は変な宗教にはまったのかと勘違いしたかもしれません。
当然プロの合唱団によって歌われますが、元々仏教教典。あまり上手な歌だとなんか違和感があります。特に4楽章「摩訶梵」の摩訶般若波羅蜜(もこほじゃはろみ)。普通のお坊さんを沢山集めてきて合唱団に仕立てた方が、雰囲気がでるかもしれませんね。ステージに並ぶ坊さん合唱団、壮観かも。