論文の生産性をお金で測る

asahi.comに出ていた,東大の論文が国立大でコスト最大級という記事.研究費を論文数で割った,論文一本あたりの生産費用が,東京大学で1845万だそうです.お金を沢山集めてる割には論文数が少ないとでも言いたいのでしょうか.こんな数字は統計上どうにでも出せるだろうし,そもそも数だけ比較してもあまり意味が無い気がします.東大の肩を持つつもりは無いけど.

ただちょっと面白いと思ったのが,所謂旧帝大が,軒並み論文一本あたり1000万円以上かかっているということ.「費用」というのに何が含まれているのか気になります.普通,一番お金がかかるのは実験.内容によっては装置を作ったりサンプルを購入したりするだけで数千万かかることもありますので,一本あたり一千万というのはありがち.学会参加のための出張費も,年間数十万はかかるかもしれません.海外での国際会議があれば,百万越すでしょう.

他方,安上がりなのは理論屋さんで,基本的に紙と鉛筆の世界です.大規模な計算やるのにスーパーコンピュータを利用する費用なんてのもかかりますが,実験ほどはお金がかからないでしょう.

で,こういう研究費の話になると決まって出てくるのが,「そっちでは研究費,いくらあるの?」という疑問.これが答えにくい.なぜならアメリカの研究所では,研究費は人件費や諸経費込みだから.

研究する人がいて,そのサラリーがまず必要です.その人を雇うために機関は事務上の諸経費(overheadと呼ばれます)が必要です.なんやかんや全部入れると,一人当たりの経費は三千万円くらいになってしまいます.この中から,給料,出張費,パソコン,事務経費,紙と鉛筆代をやり繰りするわけです.

ちょっと前に,日本のとあるメーリングリストでアンケートのお願いというのがあって,返事しようとしたことがあります.幾つかの項目に答えた後,「研究費はいくらもらってますか」という質問事項で挫折しました.こちらの金額的には,ウン千万です.でもそんなの書いた日には,東大以上に論文生産性が悪いということになってしまう.

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4 thoughts on “論文の生産性をお金で測る”

  1. うちの主人はここの研究所でいつもお金の計算をして予算を割り当てているわけですが、自宅でちょっとした計算をするときにミスを発見すると、「オイオイ、こんな単純計算でミスをして、大丈夫なのかい?」と多少心配になってきます・・・(笑)。東大は国立大学の中でも割り当てられる予算が群を抜いていると以前聞いたことがあります。それだけ余裕を持った研究ができるということなのでしょうか・・・。

  2. この手の記事を見ると何の目的で記事を書いているのかを勘ぐりたくなりますよね?
    予算削減の意図を持ってでしょうか? 論文もピンキリがあり、単純に数の問題ではなく、予算の内容もどんな目的で何に支出されているかにより、簡単に論文作成コストには繰り込めないもののあるはずです。
    世の中全体が余裕が無くなり、段々、浮世離れしている(生活に直結しない)部分のお金に興味が行くのでしょうか?

  3. エスペランザの住人さん,お金の計算って面倒ですよね.インフレが3%で,予算削減分が何%でとかやってると,パソコンを窓から放り出したくなります.予算なんてどうせ減って行くだけなのに.東大は科研費なんかでもトップですね.もっともこれは「割り当て」られている訳ではないですが.校費なんかはそんなに変わらないんじゃないかなぁ.

  4. Sallyさん,なんだかミスリードを誘う様な記事ですよね.カミオカンデみたいな大規模な物理実験やると大金がかかりますが,金額に比例した「本数」の論文が問題じゃなくて,その成果の質なんですけどね.どこの大学でもそうですが,資金が豊富なのは,大体企業と共同研究をやってる所ではないでしょうか.いつも指をくわえて眺めてました.

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