冠禍での日本滞在,ロプノールピアノ

小学生の頃にピアノを始め,まともにレッスンを受けていたのは大学時代まで。その間,引っ越しもありピアノもそれに合わせて移動してきました。

このピアノは元々同居していた祖母のものですので,僕が生まれるより前のもの。それを練習に使い始めました。

僕は中学時代に近くの町に引っ越し,でも暫くはピアノの置かれた祖母の家まで通って練習していたものの,やはり不便だからと自宅へ運送しました。後から聞いた話ですが,祖母はたいそう悲しんだんだとか。

時は流れて僕も大学卒業。もう誰も弾くことが無くなったピアノは,再び祖母の元へ。でも彼女がピアノに触っていた形跡もなく,東京の従姉妹と僕が弾く賛美歌「主よ御元に近づかん」を最後にしばし沈黙したようです。

その後,本家を守る叔父が亡くなった後,うちの母が再びピアノを自宅へと運搬したようです。でも僕は渡米,調律されることもなく,随分と酷いコンディションのまま10年の歳月。

そして先週,実家の整理をしながら,もうこのピアノは処分するほかないなと親戚と話していたら,従姉妹が「ピアノの練習したい」と言うじゃないですか。

古いピアノなので,運搬,修理,調律,全部で20万円の見積もりとなりました。正直,新しい電子ピアノを買ったほうが良いと思うのですが,思い出のピアノを温存してくれるというのだから嬉しい限りです。せめてあと10年,このピアノが音楽を奏で続けられたらと思います。

ところでピアノの上に置かれた青い本は,子供のピアノ練習で定番のソナチネアルバム。僕が子供の頃に使ったものですが,開いてみると自分の書き込みがありました。高校か大学時代,ソナタ形式と和声の勉強のために書き込んだもの。ソナチネは構造が単純で定形通りに書かれたものが多いので,音楽の勉強にはもってこいです。

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13 thoughts on “冠禍での日本滞在,ロプノールピアノ”

  1. ピアノの人生もいろいろですね。
    何処の家にも誰も弾かなくなって放置される、というのはいいほうで、
    物置になってるのもあります。
    このピアノは見捨てられず代々引き継がれる幸運のピアノでした。
    なによりお婆さまがよろこんでいることでしょう。
    子供時代の楽譜の本も残ってて本当に良かった。

    動画はタイタニックですね。
    船が沈む最後まで残って演奏するシーン、ジーンときました。

    1. Chieさん,子供が練習につかっていたけど,中学生のころにやめて,巣立っていった後は粗大ゴミかピアノ売ってちょ〜だい,というパターンが多いですね。ピアノは家具のようなもので寿命もありますし,その寿命を楽器として全うできるのはこの上なく幸運だと思います。

  2. お祖母様のピアノ。こんな軌跡を経て眠りから覚め、
    また音楽を奏でることになったことにロマンを感じます。
    一つの楽器がゴミにならずに生かされたことも、
    自分とは何の関係もなくてもなんだかとても嬉しいです。
    先だって見たNHKの番組で、フジコヘミングさんが
    お母様の形見のピアノを800万円かけて修理したと
    仰ってました。金額には言葉を失いましたが、そのときも
    素適な話だと思いました。あのピアノも、LiLA家のピアノも
    今後もずーっと(10年なんて言わず)受け継がれていくと
    良いなと思います。

    1. ポージィさん,自分の馴染んだピアノが処分されてしまうのは,ちょっとつらいですからね。ピアノは音楽を奏でてこそです。形見とはいえ,800万円で修理とはすごいですね。高級な新品が買えてしまうお金です。よほど思い出が深かったんでしょうね。そんだけのお金をかけるということは,内部は全くの新品かも。

      1. フジコさんのは、たぶん、ピアニストのお母様がドイツから持ち帰った、戦前のブリュートナーのことかと思います。

  3. ロプロールはさまようと言われながらも、実際には二箇所をいったりきたりしていたようなので、そういう意味ではぴったりの表現ですね。ソナチネには届かなかったなあと遠い目。

    1. missssyさん,そうなんです。2箇所を行き来する湖,まさにそんな感じでした。ピアノはソナチネまでいくと,楽しみが増えますよ。ツェルニーの40番くらいです。

  4. わ~!ピアノだ!(と、自分が今ハマっているもんだから反応する人・笑)刺しゅう音って刺繍音と書くのでしょうか?面白い~!そういう言葉があるとは知りませんでした。

    ピアノのお稽古、大学生の頃までとは、長いですね。それじゃ、音大に行ってた可能性もあるんじゃないですか?

    ところで、20万円ではアコースティックのピアノはなかなか買えないですよ~。中古でも。今年の頭にいろいろ調べての実感です。

    引き継いでくれる人がいたのは、素敵なお話ですね。

    1. あ、新しいピアノ、じゃなくて、新しい電子ピアノって書いてあったのですね。早とちりしました。

    2. Sanaeさん,はい,刺繍音と書きます。刺繍のように和声外の音を上下します。ピアノはあくまで趣味と割り切っていました。将来仕事にできるほどの才能がないのはわかってましたからね。

  5. ピアノの生き様ドラマが描かれます。新たな出逢い、ピアノの寿命がここに来て更に伸びましたね。良かったです。かれこれ1世紀に亘るものでしょうか。これからどんな時を過ごしていくのでしょう。これからもお祖母様はピアノに代わって皆さんの生き様を見届けられる事でしょう。「主よ御元に近づかん」の賛美歌、私も大好きな賛美歌の一つです。今の世界の脅威となっている新型コロナウィルスの危機をこの賛美歌を聴くと癒されます。1日も早い終息を願うばかりです。

    いよいよ明日ご帰国ですね。あっという間の3週間でしたね。空港は過去に体験したことのない状態になっているでしょう。マスクお持ちですか?無ければ我が家のお分けしますが。ご連絡下さい。道中何が起こるかわかりませんが、呉々もお気をつけて。ご自宅に早くご帰宅出来ることを祈っております。

    1. いたずらリスさん,このピアノも100年の歴史を経ていくのかもしれません。そんな価値があるものではありませんが,個人的には値段がつけられないものです。折を見て再会しに行こうと思ってます。ちゃんと調律してるか,確認しないといけませんしね。
      あっという間の3週間でした。マスクはありませんが,まあなんとかなるでしょう。買えないものは付けられない,そういう雰囲気だし。それより問題は,本当に帰れるかどうかですね。

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