完成された未完成

ウィーンへ出張するたびに,Doblingerという楽譜屋さんに立ち寄ります。音楽の本場ウィーンの楽譜屋,さぞやすごいんだろうと思うことなかれ。勿論品揃えは豊富ですが,想像するよりずっと小ぢんまりしております。銀座のヤマハの方がずっと凄い。

今回調達したのは,BachのトッカータとSchubertのピアノ曲の楽譜。Bachの鍵盤楽器の楽譜はほぼ全て網羅したと思うのですが,トッカータは守備範囲外。弾くかどうかはおいといて,取り敢えず保存。

シューベルトのピアノ作品D.946は,3つのピアノ曲という身も蓋もないタイトルで呼ばれています。最晩年の作品で,親しみやすい旋律で書かれた名曲です。

でも僕の気を惹いたのはこの曲ではなく,D.916の2曲の方。そういう作品があるのは知っていましたが,どちらも中途半端に終わってしまい,楽譜は途中で唐突に中断します。シューベルトによくあるパターン。

この楽譜は,そんな断片を完成させ,ちゃんとした作品となっております。もちろん補筆部分が本当にシューベルトの意図したところかどうかは神のみぞ知るですが,途中でぶちっと切れるよりは心理的に安心できます。

編曲者が天国でシューベルトに出会ったとき,彼が何と言うか。おそらくは「あれは短すぎる。もっと天国的な長さにしないと」と言うんじゃないかと。

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「完成された未完成」への6件のフィードバック

  1. 私の持っているCDでは「3つの小品」になっていました。(Drei Klavierstücke –> Three Piano Pieces –> 3つの小品になったのでしょうか。)3つのピアノ曲よりも、3つの小品の方が少しだけかわいいです。でも、曲そのものは、そんなに短くもないような気がします。
    ところで、サイン収集家と致しましては、表紙のSchubertのサインは、確かにSchubertのもののようであることをお伝えしたいと思います。

    1. ボイジャーくればスタートレックでしょうか2号さん,3つの小品と書かれることもありますよ。即興曲と呼ばれることもあり,本人がちゃんとタイトルを付けてない関係上,あんまりはっきりしてないです。

  2. アルゲリッチのBWV911歯切れの良さが快感なのです。
    試しにチェンバロのを聴いてみたら、
    聴き慣れないせいか気ぜわしくワヤワヤと聴こえます。
    こっちが元祖なんですよね~

    1. Chieさん,チェンバロ演奏とピアノ演奏は,雰囲気が全く変わりますね。電子ピアノでチェンバロ音にして弾いてみると,ちょっと楽しいです。

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