J.S. Bachの前奏曲の中にあるSchwencke小節

LilyPondでフルートの楽譜を作ってみる,の続き.ベタではありますが,Gounodの Ave Mariaを打ち込んで見ます.この曲の伴奏は,J.S. Bachの平均律Kravier曲集のC durの前奏曲が使われているので,Bachの楽譜も並べてみました.でもBachの前奏曲全くそのままではなく,上の色で囲んだ部分が追加されています.

ピアノを習う子供の定番教則本Sonatineアルバム,その中にオマケのように収録されているBachの前奏曲にも余分な小節があり,そこに書かれた「これはSchwenckeが挿入したもの」という脚注がずっと昔から気になっていました(全音楽譜出版さん,Schwenckeの綴が間違ってますよ).

Christian Schwenckeという人は知らないのですが,18世紀後半の音楽家のようです.小節を追加した理由は定かではありませんが,おそらくこの部分のBachのコード進行があまり滑らかでないと考えたのでしょう.挿入部分によってバスがF, Fis, G, Asと半音ずつ上がっていく形になります.また全体が36小節となり,4小節毎の構造がはっきりします.

Czerny版平均律にもSchwencke小節が含まれているのですが,Carl CzernyはSchwenkeより四半世紀ほど後の人なので,おそらく彼はSchwencke版を見ていたっぽいです.もしかするとCzernyも,ここはBachが間違ってると思ったのかも.Czerny大先生の編集が出てしまったら,もう取り返しがつかない.もちろん現在売られている原典版ではSchwencke小節は省かれています.

GounodがAve Mariaの歌を乗せたのは1859年,Schwencke小節込みの版なので,原典版の前奏曲を伴奏にAve Mariaを歌ったら途中でずれてしまいます.

Schwencke小節が有るのと無いのでは,どれくらい聞こえ方が変わるのか試してみました.まずは原曲.そしてSchwencke版

うーん,あんまり変わらんような気がする.

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「J.S. Bachの前奏曲の中にあるSchwencke小節」への10件のフィードバック

  1. 僕が最初のこの曲をピアノでさらったときにはこの小節が入ってました。バッハのオリジナルにこれが入ってないことはそれからしばらくして知りましたが、Schwenckeという人による挿入とは知りませんでした。LilyPondでLiLAさんもどこかに1小節挿入してみては。

    1. インド現地委員さん,1小節入れるだけで最大限破壊できる箇所ってどこでしょうね.やはり2小節目あたりを半音ずらして,プロコフィエフ感を出すとかでしょうか.

      1. プロコフィエフ感ってそうやって出すんだ。なんか創造の神秘に触れたって感じ!

  2. ご飯のあとのご講義だからかしら~~
    私がだんだん眠くなる~
    先生の声が、とおくなる~~

  3. このSchwencke小節(という名前は初めて学びました)が入ると、規則的な4小節単位のフレーズがここだけ5小節になっていびつだなと思ってたんですが、たしかに原典版のPrelude C durはもともと全部で35小節と半端ですよね。頭から見直してみると、(解釈に依るかもしれませんが)9-11小節だけ3小節の不規則フレーズになってますよね。後ろの方で1小節足して36小節、全体の辻褄は合いますが、これで良かったんでしょうか。

    1. Hiroさん,全体が36で4の自乗という切りのいい数字にはなるんですが,実際に中が4小節構造になってるわけでもないんですよね.まあどこで切るかという話なんですけど.歌を乗せる場合は,4小節区切りのほうがすんなりいきそうです.

  4. え?え?え?
    「原曲」「Schwencke版」
    クリックしたら左上にナニカ出た!
    ふにふにしたもんが出た。
    大きくしたらなんと!
    これはLiLAさんの演奏動画じゃありませんか~~
    早く言ってよー

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