
Belgium出張の合間に同僚の訃報を伝え聞きました.彼は僕より10歳ほど年上ですが,随分前から癌の闘病生活が続いていました.その彼のMemorial Serviceが本日催されることを知ったのは今朝のことです.
Memorial Service,追悼会とでも訳すんでしょうか.出席者は親しかった友人や仕事仲間が中心ですが,困ったことにアメリカでのこういった催しに参加したことがない.何を着て行けば良いのか分からず,職場の秘書さんに助言を仰ぎました.
曰く,フォーマルである必要なし.あまりカジュアル過ぎなければ大丈夫とのこと.一旦自宅に戻り,落ち着いた色のシャツとジャケットに着替えて出席しました.他の出席者も概ね似たような服装.もっとも,仕事から駆けつけてきたような普段着からスーツ姿まで,人それぞれ.
故人を偲ぶ会ですので,職場の上司などが彼の業績や仕事ぶりを追慕するスピーチを行っていきます.当然ながら笑いを取りに来る不届き者も中にはいて,和やかな雰囲気で会は終わりました.
僕も彼に関しては笑える話が幾つかあるのですが,ここはちょっと「笑えない話」.
Santa Feのホテルで会議開催し,ロシアからの訪問グループに旅費を小切手で支払ったときのこと.帰国後に小切手を換金するのは面倒とのことで,Santa Feの銀行で現金化することにしました.旧ソビエト連邦出身の彼は当然ロシア語が話せるので,彼に「お客さん達を銀行に連れてって」と頼んでおきました.
しばらくして彼が他のロシア人達と共に血相を変えてホテルに戻ってきて,僕の顔を見るなり,
「警察が来る!今日はもう絶対に外には出ない!」
こっちには何のことやらさっぱり分からない.理由を尋ねたら,どうやら小切手の現金化はできないと銀行から言われたらしい.でも彼はそこで一歩も引かずに押し問答.挙句の果てに警察に電話されたんだとか.
一同,あたふたと退散し,一目散にホテルへと逃げ帰ってきたと言うわけ.もし本当に彼らを警察が探してるんなら,ホテルの中に隠れてりゃ安心なんてことも無いと思うんですが,あまり脅かさないようにしときました.冗談言える雰囲気じゃなかったので.
同僚さん、残念でしたね。長く暮らすようになると、そういう機会も出てくるのですね。
それにしても、なんで警察?!小切手が本物と思ってもらえなかったってことなんですかね?お気の毒です。
同じじゃないですけど、うちの学長さん、コンピューターの講義のANDとORの説明で、ご自身のかつてのアメリカ生活の時の小切手のお話使ってました。奥様のお名前とご自分のお名前をandでつないで書いてしまってあったので、奥様ひとりじゃ換金してもらえなくなっちゃって、常に一緒に行く羽目になった…と。どっちが行ってもOKにしたいならorと書かにゃならん!というお話でした。履修してない科目ですが、ちょっと見ただけなのに面白くてここだけ覚えちゃいました。
Sanaeさん,なんかビザの関係らしかったですが,なんせ警察に追われる身だったので詳しくは聞けませんでした.
銀行のjoint口座ですね.あれは普通 or ですけど,and になっていたんですか.う〜ん,ちょっと眉唾っぽいなあ.もしかして話を面白くしようと,でっちあげちゃったんじゃないですか.
どうせなら,NANDとXORをそれで説明していただきたいものです.
「一歩もひかず」「あたふたと退散」「血相を変えて」
刻々と変わる心理状態が手に取るようで笑ってしまった。
偲ぶ会って生前の人柄が出ますよね。
どうせなら笑ってもらえるエピソードが沢山ある人になりたいです。
Chieさん,けっこうドタバタコメディ状態でしたよ.普段は押しの強いあっちの方も,警察には負けるようです.警察に追い回される物理学者達,なんか笑えます.ちなみに笑ってもらえるエピソードには事欠かないような気がしております.
まだまだお若くしてお気の毒でしたね。
たくさんの方に和やかに偲んでいただけて、
その方も一緒に微笑んでいらしたことでしょう。
LiLA管理人さんがお持ちの笑えないエピソードは、
なんだかコメディタッチのスパイ映画の一場面みたいです。
いたって真面目で真剣だからこそ笑えちゃうというような。
実際は喜劇なんかじゃなく本当に動転されたんですね。
けれど、旧ソ連ご出身の方にとって、警察っていうのは
とても恐ろしい組織という位置づけなのかもしれないなんて、
ふと思いました。考えすぎかしら。
ポージィさん,下手したら国外退去なんてことも頭を過ぎったのかもしれませんね.当人達は気が気じゃない状況だったんでしょうが,外野目線にはチャップリン映画だから笑えます.血相を変えて「もう外に出ない」と言ってた彼の顔を,今もしっかり覚えてますよ.
同じ部署の同僚が亡くなった時は、部署内の殆どの人が日本で言う喪服に近い黒のスーツを着ていてちょっと肩身が狭い思いをしました。
それ以来、やっぱり無難に黒を着るようにしようかと思っています。
lce2さん,こういう状況って,なんとか目立たないようにするのが難しいですね.今回は,秘書さんに尋ねるだけでは安心できなかったので,メモリアルサービスに出席するという同僚数人に,予めどんな服で来るのか探りを入れておきました.
こちらのメモリアルサービスはこちらの結婚式よりもバラエティに富んでいて、参加するまで予想がつきにくい気がします。笑いを取りに行くというのが基本線みたいではありますが。医学関係者が多く集まるような会だと参加者の間で病状の進行具合や治療方針についての議論が始まって、はたで聞いている分には興味深いこともありますが、ご遺族の耳に入ったらどうなのかとヒヤヒヤします。
misssyさん,こちらのメモリアルサービスのスピーチでも,物理がどーのこーのな話が出ておりました.でも医学関係者の議論の対象にされるのは,かなり嫌かも.ご本人も草葉の陰で「そーじゃねぇんだよ」って言ってるかも.