5月の休日物語,その2

連休に入り,新人研修がようやく一段落した.3月には新しく始まる日々に心躍らせていたのに,4月になると子供扱いされる日々.期待と現実の乖離に,次第に心が重くなってきていた.

「5月病」そんな言葉が頭をよぎる.自分が思っていたほど,俺にこの仕事は向いてなかったんじゃないか.もしかしたら転職した方がいいのか.でもまだ入ったばかりじゃないか.連休だと言うのに混乱し頭が破裂しそうだ.俺はふらりと外へ出た.

あてもなく歩き,古い商店街を通り抜けたところで,ふと看板に目が止まった.

転職屋

民間のハローワークみたいなものか.思わず引き戸を開けると,老人が一人,事務机から物憂げそうな目を僕に投げかけてきた.

「仕事を紹介しているんですか?」
「まあな,50年ほどやっとる」
「今の仕事に行き詰まってるんですが...」
「5月になるとあんたのような若者も出てくるな」
「他にもいるんですね」
「そういう連中の仕事を交換しとるんじゃよ」

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俺はふと壁にかかったカレンダーを見た.5月である.

目を入り口の引き戸に転じると,憂鬱そうな顔をした若い男性が店内に入ってくるのが見えた.

「仕事を紹介しているんですか?」

俺は机に広げた新聞に落とした目をあげ,彼の姿を値踏みするようにゆっくりと眺めてから,言った.

「この仕事を始めて,もう50年ほどになるかな」
「今の職場に馴染めなくて...」
「仕事を交換してあげよう.俺はあんたを50年待ってたんだよ」

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「5月の休日物語,その2」への4件のフィードバック

  1. 女は、ハローワークへ行き中年の職員に仕事の案内の手続きを依頼した。紹介の手配が終わり席を立とうとした時、その職員から女は突然、相談を受けた。「うちの子供が将来英語を使う仕事をする方に進みたいと言うんですが、どのようにしたら英語を伸ばせるでしょうか?」
    女は、「間違いを恐れず英語にぶつかることでしょうか?それから英語の生活環境にアレルギーを持たないように、でしょうか?」と答えた。職員は女に「今日はお話できて良かったです。有難うございました。」とお礼を言った。女は、適当に答えたことにこれで良かったのだろうか?と思いながら、今日はここに何しに来たのだろうとハローワークを後にした。

    1. いたずらリスさん,その職員,英語にぶつかったら怪我をして入院生活を余儀なくされて,その女を訴えるんですね.わかります.

  2. 「交換」ね。
    そこがこのお話の重要なヒントなんですね。
    う~~~こわっ。

    1. Chieさん,この転職屋は鎌倉時代から続いてるそうなんですが,当時5月病があったのかどうかは意見の分かれるところです.祇園精舎の鐘の声〜

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