音楽の中の黄金分割

年末帰国したとき、面白そうな本を見つけました。マリオ・リヴィオ著「The Golden Ratio、黄金比はすべてを美しくするか?」(斉藤隆央訳、早川書房)。アメリカに住んでいながら何故和訳?と言うつっこみは無しね。

黄金分割は1:1.62くらいの比率で、俗にピラミッドやギリシャのパルテノンの設計に使われているとか言われます。もっともこの著者は、それには懐疑的で、誤差の範囲であると切って捨てます。

黄金分割は、フィボナッチ数列と深い関係があります。フィボナッチ数列とは、1,2から始めて、続く2つの数字の和を次の項とするもの。1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,…。この隣り合う数字の比を取ると、それが黄金分割比に漸近することが知られています。例えば、89/55=1.6182。細かい話は本を読んで頂くとして、ちょっと面白かったのが音楽に使われているという黄金分割。

有名な例がBartokで、小節数などの設計に黄金分割が使われていると言う話があります。最初にこれを聞いたのは随分昔のことで、そんな作曲技法もあるのかと感心しておりましたが、どうやら最近ではあまり信憑性が無いという結論だそうです。

もう一人、こちらは初めて聞いた話ですが、Debussyの音楽でも、「海」や「雨の庭」の構成が黄金分割になっているんだとか。こちらも、本人がそうと語っていない以上、真偽の程は闇の中ですが、面白い話ではあります。

作曲家が黄金分割を用いたのか、それとも偶然か、さらには黄金分割を音楽に用いる効果が本当にあるのかは分かりません。

同様の例があるかどうか、探してみました。Chopinの前奏曲集Op.28の第一番ハ長調。全体の小節数は34で、フィボナッチ数になっています。最初の旋律が一段落するまでは8小節、これもフィボナッチ数。それから次第にcrescendoし、クライマックスのffになるまで13小節、これもフィボナッチ数。打ち寄せた波がひくように小さくなり、小さなコーダを経て集結、ここも13小節。

曲の頂点までの小節数は21で、後半は13小節。その比は1.615で、ほぼ黄金分割になっています。さらに、曲の調子は2/8でフィボナッチ数。曲に多用されている3連符と5連符もフィボナッチ数。Chopinが作曲にあたって黄金分割を意識したのは間違いありません。

信じられますか?

ちなみに、全小節数がフィボナッチ数になっているChopinの曲を、適当に探しただけですが。

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