楽しい発表のコツなど

ウィスキー

以前,真面目な国際会議,それも名だたる著名物理学者が並ぶ前で,徹底的におちゃらけた発表をぶちかましたことがあります.笑いを取ろうとかなり入念に準備した甲斐あり,講演は成功.その時の発表スライドが何故か流出し,「なんであんた,それ持ってるの?」という状況になっております.

それはさておき,年間それなりの数のプレゼンをこなしておりますので,自分なりのTipsを蓄積してきました.今日はその中から,役に立つ立たない取り混ぜて幾つかご紹介.

1分15秒の法則
一枚のスライドにかける時間は1分15秒.20枚のスライドを用意したら,発表時間は25分です.スライドを準備してすぐ,あまり推敲せずに喋ると,もう少し時間がかかります.

一枚にもっと時間をかけても良いのですが,そうすると聞いている方が退屈してきます.逆に進行速度が速すぎても,聴衆からそっぽ向かれます.

メリハリをつける
ダラダラと一本調子で喋り続けない.一瞬沈黙を置いたり,ニヤっと笑って会場を見回したり.大袈裟にやるんじゃなくて,小さな演出です.聞いている人の注意を引く上で,かなり効果があります.

会場にいるであろう人物の名前を出す
どうせ同業者ばかりなんだから,聴衆の中には似たようなことをやってる人物がいる確率大です.話の途中で,その人を注視しつつ,その仕事に言及します.「これについては,すでにDr. Smithが検討されてましたね」みたいに.会場の視線がそっちへ向かいます.これもメリハリテクの一つ.この場合,絶対にネガティブな事を言ってはダメです.

大量に書き込まない
時々スライドを細かい文字で一杯にしている人を見かけます.あんなの誰も読めないし,読みたくもない.要点だけ箇条書き.一枚ごとに主なメッセージを絞り,余計な事は書かない言わない.

わざと間違える
当然誰でも知ってるようなことを,わざと間違えます.それから「あれ?」っという感じで一瞬間を置きます.聴衆の中から,訂正してくれる人が出てくるでしょう.こういうヤラセハプニング,聞いてる人の気分をちょっとだけ変えますので,聴衆の注意力がアップします.

小ネタを記憶しておく
どんな業界にも楽しい話題は落ちているものです.そういうの温存しておき,発表に忍び込ませます.

昔,とあるイタリア人が書いたプログラムがあり,それなりに広く使われていたものの,誰にもプログラムの内容が理解できませんでした.それもその筈,全てのコメントがイタリア語です.このプログラムは,スパゲッティプログラムと呼ばれました.

略称で遊ぶ
Acronym乱用は困りものですが,長ったらしい名前を言うより,ABCDみたいな略称の方が便利なのは確か.もちろんその略称を聴衆と共有できてることが前提,業界が違えば全く違った意味になります.

数学の手法の一つにランダム行列理論Random Matrix Theory, RMTというのがあります.こいつをもじって,Random Mistake Theory.人間の間違いはランダムに起こる,これはRMTと呼ばれる,なんてのを発表中どさくさに紛れて言います.

ちなみにAcronymダジャレで威力を発揮するのはGoogle.ググってみれば,同アクロ異義を大量に発掘できます.RMTだと,リアルマネートレーディングってのがありますね.

ポーカーフェイス
ウケ狙い発表で重要のは,自分で笑わないこと.あくまで真面目な顔で通します.自分で受けちゃったら,会場は白けますよ.

一見無関係な画像
同じくGoogleネタですが,もし発表スライドに余白があったら,そこに書かれた単語のどれかを画像検索してみましょう.例えば「調整ツマミ」つまりKnobという単語があったとして,それを画像検索すれば,大量のノブが表示されます.でもそこにKnobという名前のウィスキーもあるはず.こういう画像をちゃっかり使ってしまうわけです.

この場合,発表中に画像への余計な言及は厳禁.全くそこには触れずにさらりと流します.もちろん大概の画像は著作権で保護されてますからね.

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「楽しい発表のコツなど」への16件のフィードバック

  1. なるほど~、ブログはそれの練習場?それとも講演がブログの練習場?次はぜひ、動画で再現プリーズ。(内容はブログ向けで…笑)

  2. いや、とても参考になります。こちらの日本人研究会にも情報を流しておきます。このまえ軟骨の話をしたときにコラーゲンサプリの写真を出したら受けていました。わたしはもんたメソッドを多用していますが、朝ズバのあの仕草から名付けられたこの方法、すでにウィキペディアなどで紹介されているのですね。

    1. misssyさん,昔,内輪のセミナーで高橋メソッドを使ったことがあるんですが,いまいち受けが悪かったです.遊んでるっぽいって思われたらしくて...
      コラーゲンサプリと言えば,やっぱりスッポン?

      1. スッポンよりはスッポンポンのほうが、、、あ、そんなことしたら一巻のカセットの終わりですね、この国では。

        1. misssyさん,なるほど,発表中にスッポンポンになって,脇腹を掴んで「コラーゲンだぜい」ってやるんですね.
          そんなことしてたら,健康保険料がメタボ割増.

  3. 思い通りに事が運んだ時の快感はいかばかりでしょう。
    ポーカーフェイスでバーボン?

    関係ないけど、そこに光ってるエタニティリングが気になるなー。

    1. Chieさん,ポーカーフェイスでバーボンと言うか,バーカーフェイスでポー?
      リングってなんだろって思ったら....

      これ,天井の照明がテーブルに映ってるだけです.

  4. いや、勉強になります。 流石ですね~。
    今の仕事になって、2ヶ月程ですが、自分のプレゼン力の無さに嫌気がさしてます(笑)。
    プレゼン資料を作るのも、聞く側のイメージで作ろうとするのですが、さっぱり駄目です・・・。

    また、この手のTipsお願いしま~す!

    1. Mooseさん,そんな勉強だなんて.要は慣れですよ.
      資料作りは,聞いてる人のレベルによって変わるので面倒ですね.以前,大学院生向けの資料を作ったことがあるんですが,どこまで噛み砕いたら良いものかと悩みました.

  5. 以前、TVでも有名な評論家の講演を会場の後ろの席で聞いていたら、
    「lce2さん来てるんでしょ?後ろの方に座ってるんじゃないかな?」
    と私の方を見ながら言うではありませんか!(同姓の評論家がいるようです。)
    Simthほどありふれた苗字ではないので、びっくらこきました。

    1. lce2さん,おぉ!有名人になっちゃいましたか.手をあげて,にっこり笑ってあげましょう.
      僕の名前は,多分トップ50くらいには入るありきたりの名前なんですが,同姓の有名人っていたっけな.

  6. こんなLiLA管理人さんが学校の先生だったら、
    生徒たちの心も鷲づかみですね!
    ブログファンが多いのも納得です♪

    1. ポージィさん,おそれいりますです.日本での講演で笑いを取ろうと思うと,滑っちゃうことが多いんですよ.日本の聴衆はレベル高いです.

  7. LiLAさんの講演は良かった、とうちのボスもJFKに行くタクシーの中で言ってました。僕もスライドの文字数を極力増やさないようにしてます。式も極力避けたいですね。スライド1枚辺りの時間は院生の頃から1分前後。メリハリつけられるようになりたいですが、英語だとともかく落ち着いて話すことだけで精一杯かも。。。

    1. 現地委員さん,そちらのボスがそんな事をおっしゃっておりましたか.今度,酒を一本買っていこう.
      式も極力避けたいところなんですが,賢く見せるには数式を使う,という法則もあります.ただ数式があると,説明するのが面倒だったりするんですよね.説明せずに,この数式の面積は50平方センチです,とかやっちゃえばいいか.

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