形式が大事な国で形式を壊していたこと

今年,職場の海外出張申請システムが変更になり,手続きが「やや」簡素化されました.何かにつけ,ほどほどいい加減な手続きが心地よいこちらの事務ですが,感心するのは積極的なIT利用による手続きの簡略化.出勤簿はWeb上,給与明細もWeb上,種々の細かな手続きはPDF.紙の書類もめっきり減りました.

ふと思い出すのが,今年4ヶ月間滞在した目黒方面の某大学.出勤簿を出せとメールされてきたのが,Wordファイル.カレンダーのようになっており,日々◯印を付けていくらしい.おまけに印刷して手書きサイン.印鑑もあったかも.

困ったことが一つ.僕のパソコンにMS Wordは入っていません.代わりにLibreOfficeを入れていますが,滅多に使うソフトでもない.出勤簿への入力はLibreOfficeを使ったものの,いざ印刷しようとすると,表のサイズが微妙に変わってしまい,A4一枚に印刷できない.

おそらくデフォルトの設定がUS Letterサイズのため.もしアメリカだったら,2ページにまたがろうが内容が同じなら問題無しです.でもここは日本,きっと形式が大事なんだろうな.

全体をわずかにズームしました.ぎりぎりA4に入る程度に縮小して印刷.もしこの書類を受け取った事務員さんが超厳格であったなら,このトリックに気づいたことでしょう.

幸い気づかれることもなく4ヶ月をやり過ごしました.僕の「紙の出勤簿」,もしあの大学がまだ紙のまま保存してるのなら,表のサイズが微妙に異なることに何時か気づかれることでしょう.公文書偽造罪の時効が何年なのか,今調べている段階です.

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日本では慎ましやかな表現にとどめておきましょう

Santa Fe

先日こちらに滞在された日本の大学の方から,その時の報告書が送られてきました.こんな内容で良いですかとの問い合わせですが,先方の大学に提出する分は僕には関係ないので適当に返事しとこうと思ったら,そうもいかなかった.

その方と一緒に行った仕事の概要ですが,その中に僕の紹介の一文があり,それがちとembarassing.日本語でなんて表現したらいいんだろう,おもはゆい? わたしゃそんな大人物ではありません.

聞けば大学のWebページに掲載されるとのことだったので,そこんとこだけは修正お願いしました.もし僕が生粋americanだったら,東洋の読めない言語で何を書かれてようが気にしませんが,読めちゃうんだから仕方ない.

似たような話題ですが,以前,永住権申請時に提出する推薦書の話を友人としたことがあります.僕も何度か知り合いの推薦書を書きましたが,あれはもう何でもあり.この人物は世界トップクラスの科学者である,如何に有能であるか,永住権を与えなければ合衆国にどれだけの損失があるか,ひたすら書かれています.

もちろん嘘は書きませんが,10倍増量が当然のお国柄,少々の表現上の揺らぎはやむを得ず.Webで公開されませんしね.

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名前が出て来ない,名字が出てこない

昔から苦手だった人の名前を覚えること.小学校の担任の名前すら覚束なかったくらいなので筋金入りです.その人名忘却症にますます磨きがかかってきたのは,単に老化でしょうか.

とくにこちらに来てから,普段の生活でfamily nameを使う機会が激減し,BobやらMikeやらMarkやらJohnやら簡単な名前が溢れる日々なので,ますます覚えられない.

朝,職場の駐車場を歩いていると,見覚えのある顔.脊髄反射的に “Hi Robert” と何とか名前は出たのですが,はて誰だったっけ.確か英国人.

過去に何度か会ったことのある同業者でしたが,驚いたことに彼は僕の複雑な和風first nameをしっかり覚えてた.一言二言会話を交わして,誰だったか思い出しました.でも姓の方はさっぱり.

その後,同僚と今朝会った人物の話をしていたときのこと.Robertが来てたよと言うと

“Robert? Robert Williams?” (仮名)

そこではたと気づきました.フルネームで人名を覚えてるんだ.確かに会話中にさほど親しくない誰かの話題になったとき,フルネームを使うことがよくあります.ファーストネームだけだと,「Bob? どこのボブ?」ってなりがちなので.

少々くどいように聞こえますが,「Albert Einsteinがさぁ」みたいな会話を実際にやってるのです.もちろんEinsteinに下の名前付けて区別する必要は無いと思いますが.日本語会話で「山田太郎がさぁ」ってあんまりしませんよね.

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今年の漢字はトン石

今年の漢字は「北」だそうです.2位が「政」とくれば,3位は「所」かと思ったら「不」だった.その後「核」,「新」,「選」と続いて,「組」かと思ったら「乱」だった.

お騒がせの「北」はまあ分かります.でも他の文字は,別に特別今年で無くてもよさそう.

僕が思う今年の漢字はなんだろう.最大のニュースは4ヶ月間の東京滞在ですのでか.あるいは車やら飛行機やらトラブルに見舞われた年なので,か.

今年はSchubertのPiano Sonataを積極的に練習したので,舒伯特のというのも考えましたが,これ,どう読むんでしょ.じょ?

仕事上は色んなプロジェクトに追い立てられた年でもありました.「追」と書くと追っかけてるようなので,.締切が来ても気づかないふり,電話がかかってきても聞こえないふり,メールが来ても読んでないふり.私は石になりたい.やっぱこれかな.

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事前確認はしない方が得策

クリスマスが近づいてくると,スーパーマーケットにクリスマスグッズが増えてきます.この無造作に置かれたでっかいクマさんはたったの$10,色違い揃えて買ったろかと思ってしまった.いや,買ってませんからね.

日本は師走,こちらも年の瀬に向けて慌ただしい日々かと言うと,それは人それぞれ.同僚らはそそくさと休暇モードだったり,何かの締切に追われていたり.あまり代わり映えしませんが,帰省なのかちょっと人が少なくなります.

そんなゆるいのか締まってるのかよく分からない時期,来週,主に実験系学生向けのワークショップがここで開催されるとのメール.関係ないなと削除しようとして,ふと手を止め,添付プログラムを開いて驚いた.

自分の名前,入ってるよ!

もー,出席できるかどうかくらい,ちゃんと事前に確認してよ.

で,ふと思いました.会議主催者,もし事前確認のメールなり電話なり僕にしてたら,確実にやだって言われるのを知ってる...

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バロックでお茶会の日曜日

Cembalo

Los Alamos在住の友人家族がチェンバロを購入したらしく,午後のお茶会に招待されました.お歯黒鍵盤にちょっと触らせてもらいましたが,やっぱりこういう時はBachの曲.

シンプルなデザインがいいです.それもそのはず,もともとは組み立てキットだったそうです.そういうのがあると聞いたことはありますが,かなり本格的な木工作業になるので素人は手を出さないほうがよいらしい.

この楽器は中古だそうですが,かなり本格的に作られているようなので,きっと腕に自信のある人が製作されたんでしょう.

かつて何度かウィーンの友人のチェンバロを弾かせてもらったことがありますが,本当に楽器ごとに全く違うっぽい.この楽器は鍵盤の幅がさらに狭いのか,最初全く間隔感覚が掴めませんでした.しかも鍵盤の軽いことと言ったら.

中古なら手が届かなくもないお値段.かわいらしい音にちょっと欲しくなったりするのですが,オモチャにしてはちと高い.電子ピアノのチェンバロ音で我慢するか.あるいは老後の趣味として,ぽつぽつと木工細工をやってみるか.

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傲岸不遜,傲慢不満

Santa Fe

とある日本人食事会での話.僕はもっぱら右隣に座っていた人とビールのグラスを傾けておりました.左側にいた別の友人は,その向こう側のポスドク君に何やら熱く語っております.どうやら研究者として成功するための心構えを説いていたらしい.

そんな先輩語りがちらちらと僕の耳に入ってきていたのですが,そのうち看過できない,いや立ち聞きなので馬耳東風できない,いや座ってたので何だろう,兎に角そんな一言.

「成功するにはね,傲慢でないといけない.LiLAさんみたいに」

ん?何か言った?

傲慢って言葉は少々悪かったらしいものの,その後出てきた単語アレコレもちょっと人聞き悪い.そもそも成功してないし.

言いたいことは分からないでもない.要は野心を持てとか,自分を信じろとか,そういう意味なんでしょ.でも僕みたいにってのはやっぱり聞き捨てならない.傲慢じゃないよねえ.

長年後進を見ていると,最先端で働く科学者になるかどうか,ちょっと見えてきます.成功の秘訣は,やっぱり生意気さだと思います.若造のくせに生意気なやつは,だいたい伸びる.もちろん中身が伴ってなければ,単に痛い奴ですけど.

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ニューメキシコの小さな町ロスアラモスでの日々雑感